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スタートアップはMISSIONが重要?

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スタートアップのMISSIONが重要か?


スタートアップにとってMISSIONとは、パワーの源泉

スタートアップは、一点突破のパワーやスピードにおいて既存企業を抜き去ります。まだ小さな規模の会社にどこにそんなチカラがあるのか?

それはMISSIONじゃないかなと思います。

会社経営における3つのエッセンス「人・物・金」のうち、スタートアップにあるのは「人」のみ。

この人が力を発揮できる理由は、そこに目的があるからじゃないでしょうか。だから、MISSIONが重要だと考えています。

成功している会社のMISSION事例

MISSIONの概念は理解できても、実際にどんなものか知りたいと思い調べてみました。

マネーフォワードの場合

マネーフォワードのMISSIONとは

お金を前へ。人生をもっと前へ。

「お金」は、人生においてツールでしかありません。
しかし「お金」とは、自身と家族の身を守るため、また夢を実現するために必要不可欠な存在でもあります。
私たちは「お金と前向きに向き合い、可能性を広げることができる」サービスを提供することにより、ユーザーの人生を飛躍的に豊かにすることで、より良い社会創りに貢献していきます。 

corp.moneyforward.com

ほぼ社名に込められた意味を解説しているだけですけど、まあそもそも社名が優れてますもんね。

お金はツールだといっているあたり、「お金」について私も悩みますしお金なんて単なるツールだと思いたいと多くの人が思っていそうで多くの共感を呼ぶでしょう。

とはいえ、お金は単なる道具だといいつつも、そのツール以上の価値があると思っているから、マナーフォワードさんが経営しているはずでこの辺り共感・同情を得つつ、さっと懐に入り込んでくる狡猾さがなんかもやもやとしますが素晴らしい。日本のお金教育の失敗を課題と捉えた起業なんですね。

そして、ミッションのほかにも、

マネーフォワードのVISIONとは

MISSIONを達成するために目指す未来 (VISION)は、

すべての人の、「お金のプラットフォーム」になる。

オープンかつ公正な「お金のプラットフォーム」を構築すること、本質的なサービスを提供することにより、個人や法人すべての人のお金の課題を解決します。

 

さらに、

マネーフォワードのVALUEとは

マネーフォワードが社会に約束する行動指針(VALUE)は、以下の3つ。

User Focus

私たちは、いかなる制約があったとしても、常にユーザーを見つめ続け、本質的な課題を理解し、ユーザーの想像を超えたソリューションを提供します。

Technology Driven

私たちは、テクノロジーこそが世界を大きく変えることができると信じています。
テクノロジーを追求し、それをサービスとして社会へ提供していくことで、イノベーションを起こし続けます。

Fairness

私たちは、ユーザー、社員、株主、社会などのすべてのステークホルダーに対してフェアであること、オープンであることを誓います。

 

行動指針はどちらかというとステークホルダー向けのワーディングになっている気がしますので、社員向けに探したら下のようなcultureと呼ぶものがあるようです。

マネーフォワードのCulture

マネーフォワードのCulture
マネーフォワードのCultureとは

Speed

意思決定のスピードを上げ、最速で行動に移し、最速でやり遂げよう。

Pride

絶えず成長し、最高の結果を出すために、プロとして高い意識をもってやり抜こう。

Teamwork

ワンフォーオール、オールフォーワンの精神を大切に、ひとつのチームとなって目標を成し遂げよう。

Respect

感謝と尊敬を忘れずに、誰に対しても誠実であり続けよう。

Fun

仕事を楽しみ、成長を楽しみ、人生を楽しもう。

感想

ここまでMISSIONほか、VISIONVALUEまでが、美しく整理された企業を私は初めて見ました。まるで高原に吹き抜ける一陣の爽やかな風のようです。

cultureについても、綺麗に構造化されており社員はRPGのスキルパラメーターように細かくメジャメントされて、レベルアップを求められそうです。

つぎに、MISSIONといえば代表的なリンクさんをみてました。

リンクアンドモチベーションさんの場合

リンクアンドモチベーションのMISSIONとは

私たちはモチベーションエンジニアリングによって組織と個人に変革の機会を提供し
意味のあふれる社会を実現する。

私たちは、当社の基幹技術であるモチベーションエンジニアリングを日々進化させることによって、「顧客の願望の実現」や「問題の解決」に向けて、「変革」を支援すること、そしてその「機会」を提供することを使命として定めています。

またそれを実践することで、組織や個人が「夢」や「生きがい」によって、たくさんの意味をこの社会から汲み取っている状態こそが、私たちの実現したい社会です。

 

なるほど。

ひとことで言うと、長い!(笑)

モチベーションエンジニアリングとはなんぞや?と思うと思いますが、かなり長いのでそれはこちらの本サイトでお確かめください。

www.lmi.ne.jp

 そしてつぎにくるのが、スタイルというもの。

リンクアンドモチベーションのスタイルとは

当社社員全員に対して求める考え方や行動の規範としてスタイルを定めています。モチベーションエンジニアリングという我々の独自の技術には、「実効性」と「再現性」という想いが込められていますが、ひとりひとりの社員が常に普遍的な技術を集積、編集、開発し続けるプロフェッショナルとして、相互に技術を高め合い、社会に価値を発揮していく使命を持っています。その使命を果たすためにも、全員で共通して果たすべき規範として、下記の5つのスタイルを実践しています。

1. 一流のモチベーションエンジニアたれ!

私たちの優位性はモチベーションエンジニアリングにある。常に技術を磨き続けよ。

2. 顧客の変革のために全力を尽くせ!

私たちの存在価値は顧客が決める。顧客の願望実現や問題の解決に尽力せよ。

3. ドクターシップを発揮せよ!

私たちは客観性・専門性を持った技術者集団である。誇りを持って顧客と向き合え。

4. スピード価値を創出せよ!

私たちは時間を価値の源泉だと考える。顧客の期待を超えるスピードを実現せよ。

5. 感動的クオリティを実現せよ!

私たちはクオリティに妥協しない。顧客の感動を呼ぶほどのクオリティを追求せよ。

 

行動規範といっていますので、一般論でいうところの「VALUE」に当たるのだと思います。情熱的なレッドをコーポレートのテーマカラーにしてますし、すべてびっくりマーク付き。熱いです。

VISIONが無いですが、社員の行動する様式そのものがVISIONになるのでしょうか?人教の会社だからVALUEVISIONが合一してるんでしょうね。

リンクアンドモチベーションのコーポレートキャッチとは

ひとりひとりの本気がこの世界を熱くする。

コーポレートキャッチには、私たちの思想・哲学を込めています。

当社では、組織は「One for All,All for One」の実現を目指すことが重要だと考えており、「ひとりひとり」と「世界」という言葉を対置させることで、その思想を表現しました。

また、私たちの社名にある「モチベーション」を、「人の気持ちに火を付ける」という意味を込めて「本気」という言葉で表し、「ひとりひとりの本気が集まった時に社会・世界が活性化している状態」を「熱くする」という言葉で表現しています。

感想

リンクさんには、外向きのキャッチコピー(会社の魅力を伝えるためのコピー)があります。もう「熱い」って自分でいってますね。内向きには社員たちよ熱くなれ!、そして外向きにはこの世界を熱くする!。どちらも血管ブチ切れそうな勢い。

 

ここまでみてきて、個人的にはさすがのマネホと思ってしまいました。

 

お金を扱うだけあって、沈着冷静です。論理的かつ合理的。

でも一方リンクはとにかく熱い。でも人を扱うからこその色ですね。二社とも会社の社会的ポジショニングや社会的な価値からブレてないところがさすがです。

 

さて、スタートアップと言えば基本IT。代表的なIT会社をみてみました。

ワークスアプリケーションズさんの場合

ワークスアプリケーションズの企業理念とは

私たちは「企業の生産性」を高め、企業価値の拡大に貢献します

社会や企業の持続的発展には、生産性の向上が必要不可欠です。

ITが企業の生産性を大きく左右する現代において、その活用による可能性は無限にあります。

私たちは、ITの可能性を最大限に追求した製品・サービスを提供することにより、

顧客企業に共通する業務プロセスの効率を改善します。

それにより顧客企業が本来業務への資源配分を増やし、事業を戦略的に運営するお手伝いをすることで、企業価値の向上に貢献します。

 

私たちは「働く」の概念を変え、仕事をより創造的な活動へ変えていきます

IT技術は驚くべき速度で発展を続けていますが、企業内で使われている基幹業務システムは、まだまだ人間の仕事を劇的に変えるレベルには至っておりません。

企業で働く人々は、多くの時間をデータ入力等のノンコア業務に要しており、問題発見・解決などのコア業務に大きくシフトさせることは出来ておりません。

私たちはユーザーに寄り添った基幹業務システムの開発・サービスの提供を通じて、仕事をより創造的な活動に変えていきます。

 

私たちは「クリティカルワーカー」に、活躍の場を提供します

私たちは問題解決能力の高い人材を「クリティカルワーカー」と呼び、その素養を持った人材を集め、常識にとらわれずに新しい解決策や価値を生み出す集団を目指してきました。

当社は引き続きクリティカルワーカーが、解決すべき重要な問題を見つけ出し、その解決に注力できる環境を提供することで、社会の発展に寄与する製品・サービスを創出します。

 

www.worksap.co.jp

感想

あれ?

ほかの2社と違ってMISSIONは見当たりません。あるのは「企業理念」です。

SIerだと方向が違いますね。

基本シングルドメインで立ち上がっているミレニアムのスタートアップ勢が社会に対するプロミスになっているのに対し、複数業界へ業務を請け負う形式でサービスを提供する企業の理念は、まるでクライアントへのコミットメントを読んでいるようです。

企業クライアントファーストですね。

 

同じカスタマーファーストでも、マネホのユーザーフォーカスとは違います。

ちょっとした違いですが、仕事のやり方や向き合う姿勢が異なってきますね。会社理念的なものを、個人に向けるか、社員に向けるか、クライアントに向けるかで言葉選びは違ってくるものですね。

事例から学ぶべきこと

3つの会社、マネーフォワード、リンクアンドモチベーションワークスアプリケーションズのMISSIONを見てみましたが、それぞれ会社が対話をする相手によって言葉づかいの違いや、いろいろな構造の違いがありました

MISSION・VISIONVALUEとは?

と、これまで事例を元にMISSIONについて調べてみたのですが、どうもMISSIONだけ語るのはではなく、スタートアップのパワーの源泉を探るには「MISSION・VISIONVALUE」について考えてみないといけないようです。

調べてみると、MISSION VISION VALUEの順と書いている人もいれば、VISION MISSION VALUEと書いている人もいて、どちらなんでしょうか?

vision, mission, value

ウェブサイトで調べてみて一番しっくりきたものを紹介します。

Visonとは

A vision statement is a statement of an organization’s overarching aspirations of what it hopes to achieve or to become.

ビジョンステートメントとは、組織が達成したい、またはなりたいと願うものに対する包括的な願望のステートメントです。

Here are some examples of vision statements:

Disney: To make people happy
IKEA: To create a better everyday life for the many people
British Broadcasting Company (BBC): To be the most creative organization in the world
Avon: To be the company that best understands and satisfies the product, service and self-fulfillment needs of women—globally
Sony Corporation: To be a company that inspires and fulfills your curiosity

Missionとは

The vision statement and mission statement are often confused, and many companies use the terms interchangeably. However, they each have a different purpose. The vision statement describes where the organization wants to be in the future; the mission statement describes what the organization needs to do now to achieve the vision. The vision and mission statements must support each other, but the mission statement is more specific. It defines how the organization will be different from other organizations in its industry.

ビジョンステートメントとミッションステートメントはしばしば混同され、多くの企業はこの用語を同じ意味で使用しています。 ただし、それぞれの目的は異なります。 ビジョンステートメントは、組織が将来どこに行きたいかを説明します。 ミッションステートメントは、組織がビジョンを達成するために今何をする必要があるかを説明しています。 ビジョンとミッションステートメントは相互にサポートする必要がありますが、ミッションステートメントより具体的です。 組織が業界の他の組織とどのように異なるかを定義します

Here are examples of mission statements from successful businesses:

Adidas: We strive to be the global leader in the sporting goods industry with brands built on a passion for sports and a sporting lifestyle.
Amazon: We seek to be Earth’s most customer-centric company for four primary customer sets: consumers, sellers, enterprises, and content creators.
Google: To organize the world’s information and make it universally accessible and useful
Honest Tea: To create and promote great-tasting, truly healthy, organic beverages
Jet Blue Airways: To provide superior service in every aspect of our customer’s air travel experience
The New York Times: To enhance society by creating, collecting and distributing high-quality news and information

さらに、

Notice that each of these examples indicates where the organization will compete (what industry it is in) and how it will compete (what it will do to be different from other organizations). The mission statement conveys to stakeholders why the organization exists. It explains how it creates value for the market or the larger community.

これらの各例は、組織が競合する場所(業界)と競合する方法(他の組織と異なるために行うこと)を示していることに注意してください。ミッションステートメントは、組織が存在する理由を関係者に伝えます。市場またはより大きなコミュニティに価値をもたらす方法を説明します。

Because it is more specific, the mission statement is more actionable than the vision statement. The mission statement leads to strategic goals. Strategic goals are the broad goals the organization will try to achieve. By describing why the organization exists, and where and how it will compete, the mission statement allows leaders to define a coherent set of goals that fit together to support the mission.

より具体的であるため、ミッションステートメントはビジョンステートメントよりも実用的です。ミッションステートメントは戦略的目標につながります。戦略的目標は、組織が達成しようとする広範な目標です。組織が存在する理由、および組織がどこで、どのように競争するかを説明することにより、ミッションステートメントは、リーダーがミッションをサポートするために一致する一貫した目標セットを定義できるようにします。

Valueとは

The values statement, also called the code of ethics, differs from both the vision and mission statements. The vision and mission state where the organization is going (vision) and what it will do to get there (mission). They direct the efforts of people in the organization toward common goals. The values statement defines what the organization believes in and how people in the organization are expected to behave—with each other, with customers and suppliers, and with other stakeholders. It provides a moral direction for the organization that guides decision making and establishes a standard for assessing actions. It also provides a standard for employees to judge violations.

バリューステートメントは、倫理のコードとも呼ばれ、ビジョンとミッションステートメントの両方から異なります。ビジョンとミッションは、組織が向かっている場所(ビジョン)およびそこに到達するために行うこと(ミッション)を述べています。この二つは、組織内の人々の努力を共通の目標に向けます。バリューステートメントは、組織が何を信じているか、そして組織内の人々が互いに、顧客やサプライヤー、その他の利害関係者とどのように行動するかを定義します。組織に道徳的方向性を提供し、意思決定を導き、行動を評価するための基準を確立します。また、従業員が違反を判断するための基準も提供します

However, managers cannot just create a values statement and expect it to be followed. For a values statement to be effective, it must be reinforced at all levels of the organization and must be used to guide attitudes and actions. Organizations with strong values follow their values even when it may be easier not to. Levi Strauss & Co is an excellent example of a company that is driven by its values.

ただし、マネジャーは、単にバリューステートメントを作成し、それに従うことを期待することはできません。バリューステートメントが効果的であるためには、組織のすべてのレベルで強化され、態度と行動を導くために使用されなければなりません強い価値を持つ組織は、そうしない方が簡単な場合でも、そのバリューに従います

Vision, Mission, and Valuesの感想

素直に考えるとVisionが一番初めにきてもいいはずです。企業が実現したい世界像があり、そこからブレークダウンしていく思考がもっともわかりやすいじゃないですか。でも、マネーフォワードさんの会社概要は、Missionからスタートしています。なぜなんでしょうか?

深い理由がある気がします。 

バリューに力を入れている会社が増えているらしい

そのヒントがこちらのサイトにありました。

なぜ今、ビジョンよりもバリューが注目されるのか?|@人事プライムコラム

“「なぜ、今、バリューに力を入れるのでしょうか?」という質問を、一部上場企業やベンチャー企業の経営者、人事責任者の方々(約40社55名)にぶつけてみたところ、ほとんど同じ答えが返ってきました。 「MVV(ミッシ

2020/03/20 11:26

「なぜ、今、バリューに力を入れるのでしょうか?」という質問を、一部上場企業やベンチャー企業の経営者、人事責任者の方々(約40社55名)にぶつけてみたところ、ほとんど同じ答えが返ってきたとのことです。

ミッション、ビジョン、バリューというものの中で、ビジョンをメインにした戦略では「勝てなくなってきている」ということ、ビジョン(いつまでに、どこに行きたいか?)は、時代の変化に合わせて変更していく可能性が高く、朝礼暮改になってしまう。そのため、一度定められた数年後のビジョンに沿って採用や育成を行うと、進めている最中に突然方針が変わってしまうことがあるため、混乱を招くことになる。

そこで、朝礼暮改にならないミッション(企業の存在意義)とバリュー(価値観、行動指針)を全面に打ち出して、そこに共感する人材を採用し、体現できる人材を育成することが、最重要になっている、とのこと。

 

なるほど。

経営者の視点に立って考えてみると、会社を作った理由は「○○を解決したい」「○○がしたい」という、Mission視点が多いように思えます。それを続けて行ったらどんな世界になっているんだろう?というVisionは結果として起こるという側面がある。givenなものというか、確かに時代によって変化してしまう。

目の前で困っている人っていうのは揺るぎようの無い事実、だからそれを解決するために今やるべき事はブレようがないですもんね。マネホの「私たちは『お金と前向きに向き合い、可能性を広げることができる』サービスを提供することにより、ユーザーの人生を飛躍的に豊かにすることで、より良い社会創りに貢献していきます。」というのは、やはりMissionとして経営者がやりたかったことが前面に出てて気持ちがいいし、明確。きっとこれは何年経っても変わらないんじゃないか、という気がします。

MISSIONは大人に、VALUEは若者に効く?

スタートアップのパワーの源泉である「人」を育てるMissionですが、その会社にいる人が頑張るということ以外に、優秀な人が集まることで会社が強くなるという効果もあるはずです。

イケイケの会社に人が集まるのは必定。でも、ミッションがイケイケなら人が集まるのか。というとそうでもない気がします。

とりあえず、私の周りの25〜30歳くらいまでの若者数人に聞いてみました。

「大きな社会課題の解決を掲げている会社というのは、魅力的で入りたくなるの?」と尋ねたところ、「会社のミッションは大事ですが、それは会社の将来性があるか、入ってもつぶれないか、ぐらいの程度で、重要なのはそこでどんなスキルが身につくかってことですね。どうせその会社に一生いるわけではないんですから。転職しステップアップしていくために必要なスキルが身に付けられそうな場所が一番重要です。」

なぜ会社の中で出世していくというのをはじめから諦めているかはわかりませんが、どんな環境でどんな仕事が任せてもらえるか、というのが1番の関心事のようです。

フェアネスとかチャレンジ思考とか、期待評価とか、そういう価値感や信条の部分も対して意味ないようですね。結局は職務内容だということで、手厳しいね。でも確かに企業も、志望者の動機の主軸が居心地の良さだと、ちょっと困りますけどね。

一角のものではない若者たちが考える未来

いまの若者たちは、かなり冷静に自分のことをみています。

学生企業家でもない自分が、人より秀でているとはつゆとも思っていないし、むしろ人と何ら変わりのない自分が生き残るためには、「同じ陸上のトラックを走っていても先行者には勝てそうにない、だから、誰も走っていないトラックを探してそこに行こう」としている。

はじめから出世を諦めている理由はこういうことかもしれません。そもそも誰かと競い合って評価されるよりオンリーワンとして育てられているので、出世という会社のルールの中で戦う事に違和感を感じているようにも見えます。

鍋蓋式組織の蓋からの視点

スタートアップが増えている事や、レガシーの企業が機能不全を起こし、不祥事や倒産を起こしている中で「風通しのよい組織」というのが脚光を浴びています。

風通しのよい組織の姿とはフラットな組織なのかもしれません。リーダーは数名いるけども、ほどんどの従業員が平等であるフォームです。いわゆる鍋蓋式組織です。

能力のある人にとっては居心地がよく、たいして優秀でもない人には厳しい組織かもしれません。

しかし能力のある人にとっても、蓋のつまみの部分がわずかないこの組織は、いつまで経っても職位が上がらないという構造とも言えそうです。

風通しの良さは重要ですが、会社が従業員の成果を搾取する構造にはならないようにしないといけませんね。